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ノートの作り方

勉強の本当の味方は先生でも友達でもなく,自分が書くノートだということを理解している人はどのくらいいるでしょうか。ノートは単なる書付ではなくて,思考を育てていく道具です。このことを教えてくれるノートがあるので,それをお見せする事にします。どのようにノートを作っていくか悩んでいる人に参考になると思います。

このノートは以前に私が教えた人が書いたものです。見て欲しい点が3つあります。それは次の3つです。

1°式変形に自分なりの意味を与えようと努力している。
2°自らの疑問に忠実である。自ら立てた問いに対して分かるまで考え続けている。
3°問題の本質がなんであったかを考えて「まとめ」を作っている。

以下ひとつひとつ説明します。

1°式変形に自分なりの意味を与えようと努力すること

数学が分からないという人がいう最初の言葉は「式変形の意味が分からない」です。では意味とは他人が与えてくれるものでしょうか。意味は自分が与えるものではないでしょうか。でも数学は客観的なものだから,式変形にも客観的な意味があるのではないかと思う人もいるでしょう。でも,各人が理解しようとするとき現れるのはあくまでも主観的な意味です。このノートを書いた人は,この変形はどうして行うのかとよく聞いてきます。それを聞いた上で自分なりの意味を書きつけているのです。

2°自らの疑問に忠実であること,自ら立てた問いを分かるまで考えること

「10.式と証明」の最初のページを見て下さい。ここに「疑←これが恒等式であるとなぜ①〜③の条件式がいえるのだろうか?」と赤ペンで記されています。これは自分で立てた問いであって,先生が授業中に聞いたことではありません。この問いに対して,次のページで「補足」というセクションを作って自分の解答を載せています。この問いは「恒等式ならば係数比較法が利用できる」という公式だけでは納得しないで,「恒等式とはなんなのか?」という本質にまで迫ろうとする問いです。結局それは恒等式の定義にさかのぼることになるのですが,当たり前に思っていたことが自分の問いの答えになっていたことを発見して,彼女はびっくりしています。

3°問題の本質を考えてまとめを作ること

部分部分のギャップを埋める作業が終わると,部分はどこを取ってみても理解できるのだけれど,それが全体として見るとどうしてこういう構成をとるのか分からないという段階が来ます。そこで手続きごとにブロックを作り,ひとつひとつのブロックの意味を考えたり,利用する基礎知識を整理したりします。