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大阪星光学院の入学式に門前配布してきました

4月7日の朝,大阪星光学院の入学式がありました。そこでパンフレット『医学部の数学を攻略するための10の提案』を配布してきました。

アドバイスをくれる塾の先生から「ただ配るのではなく,お母さんとお話するつもりで配ってきなさい」と言われて,その覚悟で配っていたのです。さいわい,一人の方がパンフレットを式の中で読んで,式の後で質問してくださいました。結局お話できたのはその方だけだったのですが,四天王寺の参道のようなところで配っていると思い出したことがあったのです。一遍上人がこの地で名号を書いたお札を配っていたことを思い出したのです。

自分が配るこのパンフレットは,名号を書いたお札のようなありがたいものではないけれど,それなりの効力はあると信じているので,これからはお札を配るように配ってみようと思ったのです。それからは受け取ってもらいやすくなったように感じたのです。

それがその日の収穫でした。

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あえて使える道具をしぼる

多くの道具を操れる人が「できる人」と一般には思われているようだけれど,それが当てはまるのは一つ一つの道具に充分に熟達している場合であって,どの道具も中途半端にしか使いこなせないなら,一つの道具しか使えない人に劣ってしまいます。

数学は一分野であっても多くの道具が用意されていることがあります。そういうとき私は一番原始的なものにしぼって,それを習熟してもらうようにしています。

最初は一つの道具しかないので解決できる範囲は狭いのですが,他の道具もその道具で作れるようになると,一挙に解決できる範囲が広がります。そうなると,多くの道具を平行して使ってきた人たちよりも深い理解をすることになって,彼らを追い越してしまうのです。

「一書の人を畏れよ」と昔の人は言いました。今もそれは変わらないのです。

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復習するってどんなこと?

私に依頼される方のご要望は,ほとんどの場合すでに履修している単元を完全にしてほしいということです。つまり復習することなのですが,「復習」とはどういうことでしょうか。同じことを同じようにもう一度することでしょうか。それで済むなら幸いなことですが,そうは問屋がおろしません。どこかに不具合があるのでできなくなっているのです。その場合は同じことをしても不具合が治ることはありません。
ではどうするかというと,より原理的なところに戻って登ってもらうことになります。
三角比を例にとって説明しましょう。
三角比は直角三角形の二辺の間の比例関係を表す比例定数として導入されるのが通例です(下図参照)。

でもこれは「比」です。比というものは考えにくいものです。実際,三角比の2000 年以上の歴史においても,「比」として定義されるようになったのは今から300 年前というごく最近のことなのです。それまでは「比」ではなく「実際の長さ」を表すものでした。現在の定義からさかのぼって,昔の定義に戻すにはどうすればよいかというと,「比=分数」の分母を1にすればよいのです。すると次の図が現れます。

すなわち,「基準」としていた斜辺cを1とすれば左図が現れ,「基準」としていた底辺bを1とすることで右図が現れます。これが(正確には異なりますが)古代の人が考えていた三角比の正体です。この図を使って古代の人は今とほとんど変わらない知識体系を築き上げていたのです。三平方の定理も加法定理も二倍角の公式もすべてこの図だけで導いていたのです。
実はそれは「比」として定義された三角比を扱うよりも自然で分かりやすいのです。そりゃそうですね。古代の人ですら理解できたのですから。
私と勉強すると,このようにしてより根源的な理解をすることによって,それまでつまずいていたことを解決していくことになります。